LLC Establishment Guide

🏢 合同会社設立の手順と費用
実体験ベースで解説

freee・司法書士の活用法から事業目的の決め方まで

⚡ この記事について
「法人を作りたいけど、手続きが難しそう」
「費用がどのくらいかかるのかわからない」——
法人設立を検討する段階で、多くの方がこうした不安を感じます。
結論から言えば、専門的な知識がなくても合同会社の設立は可能です。
司法書士に依頼する方法、freeeなどの
会社設立支援サービスを使う方法など、選択肢は複数あります。
本記事では、合同会社の設立手順・費用・事業目的の決め方について、
筆者自身の設立経験を交えて解説します。
特に事業目的の入れ方は、後の法人口座開設にも影響するため、
注意が必要です。

株式会社ではなく合同会社を選ぶ理由

法人の設立形態として最も知名度が高いのは株式会社ですが、
小規模で始める場合は合同会社(LLC)の方がメリットが大きいケースが多いです。

合同会社 vs 株式会社

① 設立費用が安い
株式会社の設立には登録免許税15万円+定款認証約5万円で最低20万円程度かかりますが、
合同会社は登録免許税6万円のみ。
定款認証も不要です。この差は大きい。

② 手続きがシンプル
株式会社は公証役場での定款認証が必要ですが、合同会社は法務局への登記だけで設立できます。
手続きが少ない分、設立までの期間も短くなります。

③ 経営の自由度が高い
合同会社は出資者=経営者(社員)という構造で、株主総会や取締役会のような機関設計が不要。
意思決定がスピーディに行えます。

④ 法人としての税制メリットは同じ
節税面では株式会社と合同会社に違いはありません。
法人税・社会保険・経費計上のルールはすべて同じです。

「合同会社だと信用が低いのでは?」と心配する方もいますが、
実際の取引で法人形態を気にする取引先はほとんどいません。
Amazon、Apple Japan、西友など、大手企業でも合同会社の形態を採用しています。

合同会社の設立にかかる費用

設立方法によって費用が変わります。以下は一般的な目安です。

💰 費用の内訳

【法定費用(必ずかかるもの)】

登録免許税:6万円(資本金の0.7%、最低6万円)

収入印紙代:4万円(紙の定款の場合。電子定款なら0円)

定款認証:不要(合同会社は公証役場での認証が不要)

【方法別の追加費用】

自分で全部やる場合:法定費用のみ(紙の定款なら約10万円、電子定款なら約6万円)

freee等の支援サービス:法定費用+手数料0円〜5,000円程度(電子定款対応)

司法書士に依頼:法定費用+報酬5〜10万円程度

【その他の費用】

法人印鑑セット:5,000円〜15,000円

登記簿謄本の取得:600円×必要部数

印鑑証明書の取得:450円×必要部数

合同会社の設立費用は最安で約6万円。
株式会社の約20万円と比べて、初期コストを大幅に抑えられる。

設立方法の選択肢

合同会社の設立方法は大きく3つあります。
それぞれのメリット・デメリットを整理します。

方法①:freee等の会社設立支援サービスを使う

freee会社設立やマネーフォワード会社設立などのWebサービスを使えば、
画面の質問に答えていくだけで定款や登記書類が自動作成されます。
専門的な法律知識がなくても設立手続きを進められるのが最大のメリットです。

電子定款にも対応しているため、収入印紙代4万円が不要になります。
サービス自体は無料〜数千円で利用でき、
コストパフォーマンスは非常に高いです。

ただし、あくまで書類作成の支援であり、法務局への提出は自分で行う必要があります。
書類の不備があった場合の対応も自分で行うことになります。

方法②:司法書士に依頼する

定款の作成から登記申請まで、すべてを専門家に任せる方法です。
報酬として5〜10万円程度かかりますが、
手数料がかかる分、時間短縮と安心感を得られます。

特に事業目的の書き方や資本金の設定など、
後々の法人口座開設や融資に影響する部分について
プロの意見をもらえるのは大きなメリットです。

書類の不備による差し戻しリスクもほぼゼロになるため、
本業が忙しい方にはこちらがおすすめです。

方法③:すべて自分でやる

法務局のWebサイトや書籍を参考に、定款作成から登記申請まで自力で行う方法です。
費用は最小限に抑えられますが、書類の書式ミスや記載内容の不備で
差し戻されるリスクがあります。

法律や登記に慣れていない方にはあまりおすすめしません。
時間と手間を考えると、支援サービスか司法書士を利用する方が効率的です。

合同会社の設立手順

実際の設立は以下の流れで進めます。
freeeなどのサービスを使えば、Step1〜3は画面の案内に沿って進めるだけです。

設立の流れ

Step 1:基本事項を決める
会社名(商号)、本店所在地、事業目的、資本金額、社員(出資者)構成、事業年度を決定。
会社名は事前に法務局で類似商号を確認しておく。

Step 2:定款を作成する
合同会社の定款は公証役場での認証が不要です。
freee等のサービスを使えば、Step1で決めた内容を入力するだけで定款が自動生成されます。

Step 3:資本金を払い込む
代表社員の個人口座に資本金を振り込み、
通帳のコピー(表紙・1ページ目・振込記載ページ)を取得。
ネット銀行の場合は振込明細の画面をプリントアウトで対応可能。

Step 4:登記書類を準備する
設立登記申請書、定款、資本金払込証明書、代表社員の印鑑証明書、印鑑届出書などを用意。
法人印鑑(実印・銀行印・角印)もこの段階で作成しておく。

Step 5:法務局に登記申請
管轄の法務局に書類を提出。
申請日が会社の設立日になるため、日付にこだわりがある場合は注意。
郵送での申請も可能ですが、窓口の方が不備の指摘をその場で受けられます。

Step 6:登記完了・各種届出
申請から約1〜2週間で登記が完了。完了後は登記簿謄本と印鑑証明書を取得し、
税務署・都道府県税事務所・年金事務所への届出を行います。

Step 7:法人口座の開設
登記完了後、金融機関で法人口座を開設。
この手続きについては別記事で詳しく解説しています。

事業目的の決め方 ― 入れすぎに要注意

定款に記載する「事業目的」は、会社がどんな事業を行うかを定める項目です。
ここに書かれていない事業は原則として行えないため、
将来やる可能性のある事業も含めて記載する方が多いです。

しかし、事業目的を欲張って入れすぎると、
法人口座の開設で不利に働くケースがある
というのが筆者の実感です。

⚠️ 事業目的の入れすぎで起きる問題

金融機関から突っ込まれる
法人口座の審査では、定款の事業目的について質問されることがあります。
「どの業種がメインなのか」
「本当にすべての業務をやっているのか、やる予定があるのか」と聞かれた時に、
具体的に説明できない事業目的が並んでいると、審査担当者の心証が悪くなります。

関連性のない業種の羅列は不自然
例えば「ITコンサルティング」「飲食店経営」「不動産賃貸」
「人材派遣」「貿易業」のように脈絡のない業種が10個も並んでいると、
「この会社は本当に実体があるのか?」と疑われるリスクがあります。

「前各号に附帯する一切の事業」で逃げ道は作れる
事業目的の最後に「前各号に附帯する一切の事業」と入れておけば、
記載していない事業でも関連するものは行えます。
無理にたくさん入れる必要はありません。

✅ 事業目的を決めるコツ

メインの事業を1〜2つ明確にする
一番上に書く事業がメインとして認識されます。最も力を入れている事業を先頭に。

関連性のある事業を3〜5つ程度に絞る
メインの事業と関連する範囲で追加。多くても7〜8個程度が目安。

最後に「前各号に附帯する一切の事業」を入れる
これで関連事業はカバーできる。

すべての事業目的を説明できる状態にしておく
口座開設時に聞かれても答えられるかがチェックポイント。

なお、事業目的は後から追加・削除・変更が可能です。変更登記の手続きが必要で、
登録免許税3万円+司法書士報酬(依頼する場合)がかかります。
慎重になりすぎる必要はないものの、変更のたびに手数料がかかるため、
最初の段階である程度考えておくことがポイント
です。

設立後に必要な届出一覧

登記が完了したら、各行政機関への届出が必要になります。
期限が決まっているものが多いため、設立前に把握しておくとスムーズです。

税務署(設立から2ヶ月以内)
法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書などを提出。
青色申告は設立から3ヶ月以内に申請しないと
初年度から適用されないため要注意。

都道府県税事務所・市区町村(設立から1ヶ月以内が目安)
法人設立届出書を提出。都道府県と市区町村それぞれに届出が必要です。
自治体によって期限が異なるため確認しておきましょう。

年金事務所(設立から5日以内)
社会保険(健康保険・厚生年金)の新規適用届を提出。
法人は社長1人でも社会保険への加入が義務です。

法人口座の開設
届出と並行して、法人口座の開設も進めます。
登記簿謄本が必要なため、法務局で複数部取得しておくと便利です。

実体験:2社設立して感じたこと

筆者は合同会社を2社設立した経験があります。その中で感じたことを共有します。

💡 支援サービスを使えば設立自体は難しくない

freeeのような会社設立支援サービスを使えば、
法律の専門知識がなくても手続きを進められます。
画面の指示に従って情報を入力していくだけで書類が出来上がるので、
「自分にできるのか」という不安は杞憂でした。
ただし、入力内容が正しいかどうかの判断は自分でする必要があるため、
不安がある場合は司法書士と併用するのも手です。

⚠️ 事業目的は口座開設を意識して決めるべき

設立時は「とりあえずたくさん入れておこう」と考えがちですが、
法人口座の審査でそのすべてについて説明を求められる可能性があります。
自分が説明できない事業目的を入れるのは避けた方が無難です。
メインの事業と関連性のある事業に絞り、
あとは「前各号に附帯する一切の事業」で
カバーするのが現実的なバランスだと感じています。

💡 設立後のタスクも事前に把握しておく

設立登記が完了しても、そこで終わりではありません。
税務署への届出、都道府県税事務所への届出、年金事務所への届出、
法人口座の開設、会計ソフトの導入など、やるべきことが続きます。
特に青色申告の承認申請は期限を過ぎると初年度から適用されなくなるため、
設立前の段階で全体像を把握しておくと、設立後にバタバタせずに済みます。
freeeやマネーフォワードの会社設立サービスでは、
設立後の届出についてもチェックリスト形式で案内してくれるので、
活用するとよいでしょう。

まとめ

合同会社の設立は、freee等の支援サービスや司法書士を活用すれば、
専門知識がなくても進められます。
費用は最安6万円程度、司法書士に依頼しても15万円前後で収まります。

注意すべきは事業目的の決め方です。
後から変更は可能ですが、そのたびに手数料がかかります。
また、関連性のない業種を詰め込みすぎると、
法人口座の開設審査で不利に働く可能性があります。
自分が説明できる事業目的だけを入れるのが原則です。

設立自体はゴールではなく、事業のスタートラインです。
設立後に必要な届出や法人口座の開設も含めて、
全体の流れを把握した上で余裕を持って進めてください。
1社目の設立は不安が多いですが、やってみると意外とシンプルです。
筆者自身、2社目の設立は1社目の経験があったため、かなりスムーズに進められました。
最初の一歩を踏み出すことが一番大変で、一番大事です。

― 早乙女流夜(さおとめ りゅうや)

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免責事項:本記事は筆者の個人的な経験と見解に基づく情報提供を目的としています。
法人設立の手続きや費用は時期や管轄により異なる場合があります。
正確な情報は法務局や専門家にご確認ください。