Corporate Bank Account Guide

🏦 法人口座の開設方法と
審査を通すためのポイント

必要書類・金融機関選び・審査対策を実体験ベースで解説

⚡ この記事について法人を設立したら、次にやるべきことが法人口座の開設です。
個人口座とは異なり、法人口座は「申し込めば必ず開設できる」ものではありません。
金融機関による審査があり、実際に開設を断られるケースも珍しくありません。

本記事では、法人口座開設に必要な書類、金融機関ごとの特徴、
そして審査を通すための具体的なポイントを筆者自身の経験を交えて解説します。
これから法人口座の開設を検討している方の参考になれば幸いです。

そもそも法人口座はなぜ必要なのか

法人を設立した以上、事業用のお金と個人のお金は明確に分ける必要があります。
個人口座を事業に使い続けることも法律上は可能ですが、
以下の理由から法人口座の開設は事実上必須です。

法人口座が必要な理由

① 取引先からの信用
振込先が個人名義だと、取引先は不安を感じます。
法人名義の口座があることで「きちんとした会社」という印象を与えられ、
新規取引のハードルが下がります。

② 経理・税務処理の明確化
法人のお金と個人のお金が混在すると、帳簿の管理が煩雑になります。
税務調査の際にも、事業用の入出金が明確に区分されていることは重要です。

③ 融資・補助金の申請
金融機関から融資を受ける際や、補助金・助成金を申請する際に、
法人口座が必要になるケースがほとんどです。

④ 社会保険・給与振込
従業員を雇用する場合、社会保険料の引き落としや給与振込に法人口座が求められます。

法人口座開設に必要な書類

金融機関によって多少の違いはありますが、一般的に以下の書類が求められます。
事前に揃えておくとスムーズです。

📋 基本的な必要書類

① 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
法務局で取得。発行から6ヶ月以内のものが一般的。

② 定款のコピー
会社の事業目的や資本金などが記載された定款。

③ 代表者の本人確認書類
運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど。

④ 法人の印鑑(銀行届出印)
法人実印とは別に、銀行届出印を用意するのが一般的。

⑤ 法人番号が確認できる書類
法人番号通知書、または国税庁の法人番号公表サイトの印刷でも可。

⑥ 事業内容を説明できる資料(任意だが重要)
会社案内・ホームページのURL・事業計画書など。
審査の際に大きなプラスになります。

金融機関の選び方

法人口座を開設できる金融機関にはいくつかの種類があり、
それぞれ審査基準や特徴が異なります。

金融機関タイプ別の特徴

① メガバンク(三菱UFJ・みずほ・三井住友)
信用力は抜群ですが、設立直後の法人に対しては審査が厳しい傾向があります。
事業実績がない段階では断られるケースも少なくありません。
取引先に対する見栄えは最も良いです。

② 地方銀行・信用金庫
地域密着型で、設立直後の法人にも比較的柔軟に対応してくれます。
担当者との対面でのやり取りが多く、
事業内容をしっかり説明できれば審査に通りやすい印象です。
将来的な融資相談もしやすいのがメリット。

③ ネット銀行(GMOあおぞら・住信SBI・PayPay銀行など)
オンラインで申し込みが完結するため手軽です。
振込手数料も安い傾向にあります。
ただし、対面での相談ができないため、
事業内容の説明は書類だけで判断されます。

④ ゆうちょ銀行
全国どこにでも窓口があり、比較的開設しやすいとされています。
ただし振込限度額や法人向けサービスの面でやや制約があります。

おすすめは「地方銀行 or 信用金庫」+「ネット銀行」の2行体制。
信用力と利便性を両立できる。

審査を通すためのポイント

法人口座の審査で見られるのは、
「この会社は実体のある事業を行っているか」「犯罪に利用されるリスクはないか」という点です。
マネーロンダリングや振り込め詐欺対策の一環として、近年は審査が厳格化しています。

✅ 審査通過率を高めるポイント

① ビジネス内容を具体的に説明できるようにする
これが最も重要です。「何を誰にどうやって売るのか」を
明確に説明できることが求められます。
事業計画書を用意する必要はありませんが、
聞かれた時にスラスラ答えられる状態にしておくことが大切です。
曖昧な説明しかできないと、それだけで審査に不利になります。

② ホームページ・会社案内を用意する
会社のホームページがあるだけで「事業実体がある」という証明になります。
最低限、会社概要・事業内容・所在地・連絡先が掲載されていれば十分です。
まだ準備中でも、トップページと会社概要だけでも公開しておくことをおすすめします。

③ 固定電話番号を用意する
携帯番号だけだと審査でマイナスになることがあります。
03や06などの固定電話番号があると信用度が上がります。
IP電話やクラウド電話サービスでも問題ありません。

④ 本店所在地をきちんと確保する
レンタルオフィスやバーチャルオフィスでも開設可能な金融機関はありますが、
審査のハードルは上がります。自宅兼オフィスの場合は、
その旨をきちんと説明できるようにしておきましょう。

⑤ 資本金は最低限確保する
資本金1円でも法人設立は可能ですが、口座開設の審査では不利に働きます。
業種にもよりますが、最低でも50万円〜100万円程度の資本金があると
印象が良くなります。

実体験から感じた審査のリアル

筆者自身、法人口座の開設に取り組んだ経験があります。
その中で強く感じたことをいくつか共有します。

💡 実体験①:ビジネス内容の説明力が審査を左右する

法人口座の審査では、電話や対面でビジネス内容について質問されることがあります。
この時にきちんと説明できるかどうかが合否を大きく左右するという印象を受けました。
実際に取り組んだことがある事業、実績がある事業であれば、
自然と具体的な説明ができます。
逆に、「これからやる予定」だけでは説明に詰まりやすく、
審査担当者の心証も良くありません。
定款の事業目的に書いてある内容について、
すべて具体的に説明できる状態にしておくことが大切です。

⚠️ 実体験②:個人名のネット検索には要注意

審査の過程で、代表者の個人名をネット検索されることがあると感じました。
私自身、過去に運用していたブログやFacebookページの内容を見られた可能性があります。
当時の投稿内容に事業と関係のない情報や、誤解を招く表現があった場合、
それがマイナスに働くリスクがあります。
SNSやブログで情報発信をしている方は、
自分の名前で検索した時にどんな情報が出てくるか、
事前に確認しておくべきです。
マイナスに受け取られそうな情報は、
口座開設の申請前に削除または非公開にしておく
のが無難です。

💡 実体験③:個人口座のある金融機関は融通が利く

既に個人名義で口座を持っている金融機関は、
法人口座の審査でも比較的融通が利く傾向があります。
既に取引実績があるため、金融機関側も代表者の信用情報を把握しやすいのだと思います。
法人口座の開設先を選ぶ際、まず自分が個人口座を持っている銀行に
相談してみるのは有効な選択肢です。
特に地方銀行や信用金庫では、
既存の取引関係が審査にプラスに働くことが多い印象です。

💡 実体験④:複数の金融機関に同時申し込みが現実的

法人口座の審査は結果が出るまで1〜3週間かかります。
1行ずつ順番に申し込んでいると、全て落ちた場合に数ヶ月かかってしまいます。
最初から2〜3行に同時に申し込んでおくのが現実的です。
例えば「個人口座のある信用金庫」+「ネット銀行」+「ゆうちょ銀行」のように、
タイプの異なる金融機関を組み合わせておけば、どれか1つは通る可能性が高くなります。
複数の法人口座を持つこと自体に問題はなく、
メインバンクとサブバンクを使い分けている法人は多いです。

法人口座開設の一般的な流れ

金融機関によって多少の違いはありますが、おおまかな流れは以下の通りです。
申し込みから開設完了まで、通常1〜3週間程度かかります。

開設の流れ(対面型金融機関の場合)

Step 1:事前準備
必要書類を揃え、ホームページを公開し、事業内容の説明を整理しておく。
自分の名前で検索して問題のある情報がないか確認。

Step 2:窓口で相談・申し込み
書類一式を持参して窓口へ。事業内容について質問されるので、落ち着いて具体的に答える。
この段階で仮審査が行われることもある。

Step 3:審査期間(1〜2週間)
金融機関内部で審査が行われる。この間に電話で追加の質問が来ることもある。
ホームページやSNSを確認されることもあるため、
この期間中は不用意な投稿を控えた方がよい。

Step 4:審査結果の通知
郵送または電話で結果が届く。承認された場合は口座番号が発行される。

Step 5:通帳・キャッシュカードの受け取り
窓口で受け取り、または簡易書留で郵送。
インターネットバンキングの申し込みも同時に行っておくと便利。

ネット銀行の場合はすべてオンラインで完結しますが、
書類のアップロードや本人確認のステップがあるため、
対面型と同等の期間がかかることが多いです。

開設後にやるべきこと

法人口座が開設できたら、以下の設定を早めに済ませておきましょう。

インターネットバンキングの設定
振込や残高確認をオンラインで行えるようにしておく。

税理士・会計ソフトとの連携
freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトと口座を連携しておくと、
経理作業が大幅に楽になる。

取引先への口座情報の通知
請求書の振込先を法人口座に変更し、取引先に通知する。

社会保険・税金の引き落とし設定
法人税や社会保険料の口座振替を設定しておく。

資本金の移動
設立時に個人口座に振り込んだ資本金を、法人口座に移す。

審査に落ちた場合の対処法

法人口座の審査に落ちても、他の金融機関に申し込むことは問題ありません。
審査基準は金融機関ごとに異なるため、
A銀行で断られてもB信用金庫では通るということは普通にあります。

審査に落ちた時に見直すべき点

ホームページは公開されているか — 事業実体の証明として最も手軽で効果的です。

事業内容を具体的に説明できるか — 聞かれて詰まるようなら練習しておく。

個人名の検索結果に問題はないか — SNSやブログの投稿内容を見直す。

本店所在地に問題はないか — バーチャルオフィスの場合は別の金融機関を検討。

別の種類の金融機関を試す — メガバンクがダメなら信用金庫やネット銀行へ。

まとめ

法人口座の開設は、法人設立後の最初のハードルです。
審査が厳格化している近年では、書類を揃えるだけでなく、
ビジネス内容の説明力・ネット上の情報管理・金融機関選びが審査の合否を左右します。

特に重要なのは、実際に取り組んでいる事業を、自分の言葉で具体的に説明できること
そして、自分の名前で検索した時にマイナスな情報が出ないように管理しておくこと
この2点を押さえておけば、審査通過の確率は大きく上がります。

まずは個人口座を持っている金融機関に相談し、
並行してネット銀行にも申し込んでおくのが現実的な進め方です。

― 早乙女流夜(さおとめ りゅうや)

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免責事項:本記事は筆者の個人的な経験と見解に基づく情報提供を目的としています。
金融機関の審査基準は各行により異なり、本記事の内容は審査通過を保証するものではありません。
法人口座の開設にあたっては、各金融機関に直接ご確認ください。