⚠️ 知らないと危険 ⚠️
海外取引所を使う際の
法律リスク
2025年最新版|金融庁規制と安全な使い方
Binance、Bybit、Krakenなどの海外仮想通貨取引所は、
日本の金融庁に登録していない「無登録業者」です。
利用すること自体は違法ではありませんが、
様々な法律リスクやトラブルのリスクがあります。
資金の保護が不十分、トラブル時の救済が困難、突然のサービス停止など、
想定外の事態が発生する可能性があります。
本記事では、2025年最新の情報に基づき、海外取引所を使う際の法律リスク、
金融庁の規制、安全な使い方、トラブル時の対応策を徹底解説します。
⚠️ 重要な注意事項
本記事は2025年10月時点の情報に基づく一般的な情報提供を目的としています。
法律や規制は変更される可能性があり、個別の状況によって解釈が異なる場合があります。
本記事は法律相談ではありません。
実際の法律問題については、必ず弁護士または関連する専門家にご相談ください。
海外取引所の利用は自己責任となります。
本記事の内容に基づく行動によって生じたいかなる損害についても、
当サイトは責任を負いかねます。
海外取引所とは
海外取引所の定義
海外取引所とは、
日本国外に拠点を置き、日本の金融庁に登録していない仮想通貨取引所のことです。
代表的な海外取引所
1. Binance(バイナンス)
- 拠点:ケイマン諸島(本社機能は分散)
- 特徴:世界最大級の取引量、豊富な取扱銘柄
- 日本での状況:過去に金融庁から警告を受け、日本居住者向けサービスを一部制限
2. Bybit(バイビット)
- 拠点:ドバイ
- 特徴:デリバティブ取引が充実、日本語サポート
- 日本での状況:金融庁の無登録業者リストに記載
3. Kraken(クラーケン)
- 拠点:アメリカ
- 特徴:セキュリティ評価が高い、多様な法定通貨対応
- 日本での状況:過去に日本法人あり(現在は撤退)
4. その他
- KuCoin(クーコイン)
- Gate.io(ゲート)
- OKX(オーケーエックス)
- Bitfinex(ビットフィネックス)
- Huobi(フォビ)- 日本撤退済み
なぜ海外取引所を使うのか
📊 海外取引所のメリット
- 取扱銘柄が多い:国内取引所では扱っていないアルトコインが多数
- 手数料が安い:取引手数料が国内取引所より安い場合が多い
- レバレッジが高い:より高いレバレッジ取引が可能(ただしリスクも高い)
- 高度な取引機能:先物取引、オプション取引、ステーキングなど多様
- DeFiへのアクセス:DeFi関連トークンの取引が容易
日本の法律と規制
金融庁の規制
日本では、
仮想通貨交換業を行うには金融庁への登録が義務付けられています(資金決済法)。
関連する法律
1. 資金決済法(資金決済に関する法律)
仮想通貨交換業者の登録制度を定めています。
第63条の2:仮想通貨交換業を行うには内閣総理大臣(金融庁)の登録が必要
2. 金融商品取引法
仮想通貨デリバティブ取引(先物、オプション等)は金融商品取引法の規制対象です。
3. 犯罪収益移転防止法
本人確認(KYC)や疑わしい取引の届出を義務付けています。
無登録業者の定義
⚠️ 無登録業者とは
無登録業者:金融庁に登録せずに日本居住者向けに仮想通貨交換業を行う業者
海外取引所の多くは、日本の金融庁に登録していないため、「無登録業者」に該当します。
無登録業者が日本居住者向けに勧誘・営業することは違法ですが、
日本居住者が自己の判断で無登録業者を利用すること自体は違法ではありません。
金融庁の警告
金融庁は定期的に、
「無登録で暗号資産交換業を行う者の名称等について」というリストを公開しています。
❌ 金融庁から警告を受けた取引所(例)
- Binance(2021年6月に警告)
- Bybit
- その他多数の海外取引所
金融庁の警告は「日本居住者向けの営業をやめるように」という趣旨であり、
利用者側が罰せられることはありませんが、利用には様々なリスクが伴います。
海外取引所を使う法律リスク
リスク1:利用者保護がない
日本の登録業者には、以下のような利用者保護の義務が課されていますが、
海外の無登録業者にはこれらの義務がありません。
✅ 日本の登録業者の義務
- 分別管理:顧客の資産と会社の資産を分けて管理
- 資産の保全:顧客資産の保全措置(信託等)
- 情報開示:リスク情報の適切な開示
- 本人確認:厳格な本人確認(KYC)
- 定期的な監査:金融庁による監督・検査
❌ 海外の無登録業者
これらの義務がないため、以下のようなリスクがあります:
- 顧客資産が適切に保全されない可能性
- 取引所が破綻した場合、資金が返ってこない可能性
- ハッキング被害時の補償が不十分
- リスク情報の開示が不十分
リスク2:トラブル時の救済が困難
⚠️ トラブル時の問題
海外取引所でトラブルが発生した場合、以下のような問題があります:
1. 金融庁・消費者庁への相談が困難
無登録業者に対しては、金融庁は監督権限を持ちません。
金融ADR(金融分野における裁判外紛争解決制度)も利用できません。
2. 法的手続きが複雑
訴訟を起こす場合、海外の法律・裁判所が適用される可能性が高く、
言語の壁、費用、時間などの問題があります。
3. サポート対応の限界
日本語サポートがあっても、最終的な判断は本社(海外)が行うため、
日本の法律や慣習が考慮されない場合があります。
リスク3:突然のサービス停止
🚨 実際に起きた事例
事例1:Binance(2021年)
金融庁の警告を受け、日本居住者向けの一部サービスを停止。
日本円の入出金が停止され、一部のユーザーが混乱しました。
事例2:Huobi Japan(2023年)
日本市場からの撤退を発表。ユーザーは他の取引所への資産移転を余儀なくされました。
事例3:FTX(2022年)
世界的な大手取引所FTXが経営破綻。多くのユーザーが資金を失いました。
日本法人(FTX Japan)は登録業者だったため、顧客資産は保全されましたが、
本体のFTX.comを使っていたユーザーは大きな損害を受けました。
規制当局の圧力により、突然サービスが停止される可能性があります。
リスク4:マネーロンダリング・テロ資金供与の疑い
海外取引所を利用すると、
マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与の疑いをかけられる可能性があります。
なぜ疑われるのか
- 海外取引所は、日本の犯罪収益移転防止法の規制を受けないため、
本人確認(KYC)が緩い場合がある - 匿名性の高い通貨(プライバシーコイン)を扱っている場合がある
- 資金の流れが不透明になりやすい
実際のリスク
- 銀行口座の凍結:海外取引所との入出金を理由に、
銀行口座が凍結される可能性 - 税務調査:海外取引所の利用履歴が税務署に把握され、
税務調査の対象になる可能性 - 警察の捜査:重大な疑いがある場合、警察の捜査対象になる可能性
リスク5:税務上のリスク
💰 税務上の注意点
海外取引所を利用する場合も、
日本の税法に基づいて確定申告が必要です。
1. 申告義務
海外取引所での利益も、国内取引所と同様に「雑所得」として申告が必要です。
「海外だからバレない」は通用しません。
2. 取引履歴の取得が困難
海外取引所の中には、取引履歴のダウンロード機能が不十分な場合があり、
確定申告時の損益計算が困難になる可能性があります。
3. 国外財産調書・財産債務調書
年末時点で5,000万円を超える国外財産がある場合、
「国外財産調書」の提出が義務付けられています。
海外取引所の仮想通貨もこれに含まれます。
リスク6:セキュリティリスク
海外取引所は、セキュリティ面でもリスクがあります。
セキュリティリスクの例
- ハッキング:過去に多数の海外取引所がハッキング被害に遭っています
(Mt.Gox、Coincheck、Zaif等) - フィッシング詐欺:偽サイトへの誘導、アカウント乗っ取り
- 内部不正:取引所の従業員による横領・不正アクセス
- システム障害:急激な価格変動時にシステムがダウンし、取引できない
⚠️ 国内の登録業者は、セキュリティ基準を満たすことが義務付けられていますが、
海外の無登録業者にはこのような義務がありません。
トラブル時の対応
相談先
📞 トラブル時の相談先
1. 消費者ホットライン(188)
最寄りの消費生活センターを案内してくれます。
ただし、海外取引所のトラブルには対応が限定的です。
2. 弁護士
海外取引所とのトラブルは、国際法務に詳しい弁護士に相談するのが最も確実です。
日本弁護士連合会(日弁連)の相談窓口も利用できます。
3. 金融庁
無登録業者への監督権限はありませんが、情報提供として報告することができます。
金融庁ウェブサイトの「金融サービス利用者相談室」を利用できます。
4. 警察
詐欺の疑いがある場合は、最寄りの警察署または警察相談専用電話(#9110)へ。
ただし、海外業者相手の捜査は困難な場合が多いです。
証拠の保全
📝 トラブル時にすべきこと
- スクリーンショットを保存:取引履歴、アカウント情報、エラーメッセージなど
- メールのやり取りを保存:取引所とのすべてのメールを保存
- 取引履歴のダウンロード:CSVファイルなどで取引履歴をダウンロード
- ウォレットアドレスの記録:入出金に使ったウォレットアドレスを記録
- タイムスタンプ:いつ何が起きたか、時系列を記録
安全に使うための対策
リスクを最小限にする方法
1. 大手取引所を選ぶ
実績のある大手取引所(Binance、Bybit、Kraken等)を選びましょう。
- 取引量が多い
- 運営歴が長い
- セキュリティ対策が充実
- ユーザー数が多い
2. 大金を預けない
「取引所は銀行ではない」という意識を持ちましょう。
- 必要最小限の資金のみを預ける
- 長期保有する仮想通貨は、自分のウォレットに移す
- 複数の取引所に分散する
3. セキュリティ対策を徹底
- 2段階認証(2FA):必ず設定する(Google Authenticator推奨)
- 強力なパスワード:長く複雑なパスワードを使用
- フィッシング対策:公式サイトのURLを必ず確認
- 公共Wi-Fiを使わない:取引時は安全なネットワークを使用
- ホワイトリスト設定:出金先アドレスをホワイトリストに登録
4. 取引履歴を記録
確定申告のためにも、すべての取引を記録しましょう。
- 定期的に取引履歴をダウンロード
- スプレッドシートやエクセルで管理
- 損益計算ツール(Cryptact等)を利用
5. 最新情報をチェック
- 金融庁の警告:定期的に金融庁ウェブサイトをチェック
- 取引所のお知らせ:取引所の公式アナウンスを確認
- ニュース:仮想通貨関連のニュースをフォロー
国内取引所との併用
✅ 推奨:国内取引所をメインに
国内の登録業者をメインに使い、海外取引所はサブとして使うのが安全です。
国内取引所の例:
- bitFlyer(ビットフライヤー)
- Coincheck(コインチェック)
- GMOコイン
- DMM Bitcoin
- bitbank(ビットバンク)
- SBI VCトレード
使い分けの例:
・国内取引所:メインの取引、日本円の入出金、長期保有
・海外取引所:国内にない銘柄の取引、レバレッジ取引(少額のみ)
よくある質問(FAQ)
Q1. 海外取引所を使うこと自体は違法ですか?
A. いいえ、違法ではありません。
日本居住者が自己の判断で海外の無登録業者を利用すること自体は違法ではありません。
ただし、様々なリスクがあることを理解した上で、自己責任で利用する必要があります。
無登録業者が日本居住者向けに勧誘・営業することは違法です。
Q2. 金融庁の警告を受けた取引所は使わない方がいいですか?
A. リスクが高いため、注意が必要です。
金融庁の警告を受けた取引所は、日本居住者向けのサービスを突然停止する可能性があります。
大金を預けるのは避け、必要最小限の利用に留めることをお勧めします。
Q3. 海外取引所でも税金の申告は必要ですか?
A. はい、必要です。
海外取引所での利益も、国内取引所と同様に確定申告が必要です。
「海外だからバレない」は通用しません。
ブロックチェーンの記録は永久に残り、税務署は国際的な情報交換により把握できます。
Q4. 海外取引所が破綻した場合、資金は返ってきますか?
A. 返ってこない可能性が高いです。
海外の無登録業者には、日本の法律が定める顧客資産の保全義務がありません。
取引所が破綻した場合、資金が返ってこない可能性が高いです。
FTXの事例では、多くのユーザーが資金を失いました。
Q5. ハッキング被害に遭った場合、補償されますか?
A. 補償されない可能性が高いです。
海外取引所は、ハッキング被害の補償を保証していない場合が多いです。
利用規約で「補償しない」と明記されている場合もあります。
国内の登録業者の中には、一定の補償制度を設けているところもあります。
Q6. VPNを使えば安全に使えますか?
A. いいえ、VPNを使っても法律リスクは変わりません。
VPNを使って海外からアクセスしているように見せかけても、
日本居住者であることに変わりはなく、法律リスクは同じです。
むしろ、取引所の利用規約違反になる可能性があります。
Q7. 国内取引所と海外取引所の違いは?
A. 法的保護、安全性、利便性が大きく異なります。
| 項目 | 国内取引所 | 海外取引所 |
|---|---|---|
| 金融庁登録 | ○ | × |
| 資産保全義務 | ○ | × |
| トラブル救済 | ○ | △ |
| 取扱銘柄 | 少ない | 多い |
| 手数料 | やや高い | 安い |
| 日本円対応 | ○ | ×(一部) |
まとめ:リスクを理解して賢く使う
海外取引所は、
取扱銘柄の多さや手数料の安さなどのメリットがある一方で、
法律リスク、トラブル時の救済困難、資金保護の不十分さなど、多くのリスクがあります。
主要なリスク:
- 利用者保護がない(資産保全義務なし)
- トラブル時の救済が困難(金融ADR利用不可)
- 突然のサービス停止(規制当局の圧力)
- マネーロンダリング・テロ資金供与の疑い
- 税務上のリスク(申告義務、取引履歴取得困難)
- セキュリティリスク(ハッキング、フィッシング)
安全に使うための対策:
- 大手取引所を選ぶ(Binance、Bybit、Kraken等)
- 大金を預けない(必要最小限のみ)
- セキュリティ対策を徹底(2FA、強力なパスワード)
- 取引履歴を記録(確定申告のため)
- 最新情報をチェック(金融庁の警告等)
- 国内取引所をメインに使う
リスクを十分に理解した上で、自己責任で利用しましょう。
不安がある場合は、国内の登録業者の利用をお勧めします。
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⚠️ 免責事項
本記事は2025年10月時点の情報に基づく一般的な情報提供を目的としています。
法律や規制は変更される可能性があり、個別の状況によって解釈が異なる場合があります。
本記事は法律相談ではありません。
実際の法律問題については、必ず弁護士または関連する専門家にご相談ください。
海外取引所の利用は自己責任となります。
本記事の内容に基づく行動によって生じたいかなる損害についても、
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