
「信用情報に傷があってもOK」「高額の融資枠が取れる」とうたい、
キャッシュカードの預け入れ(暗証番号の提供を含む)を求める勧誘が
SNSやメッセージアプリで確認されています。
結論から言えば、これは極めて危険であり、
法令・金融機関規約の違反や犯罪利用のリスクが高く、
借入れはできずカードだけ悪用されるのが典型です。
本稿では、その手口・危険性・被害防止と対応策を体系的に解説します。
よくある勧誘パターンと“うまい話”の構図
- 「信用情報が汚れていても大丈夫」
審査不要を強調し、カード預託を条件にする。 - 「かなり大きい融資枠が取れる」
相場を無視した金額を提示。手数料やデポジットを先払いさせることも。 - 「報酬持ち逃げ防止のためカードを預けて」
担保の代用を装い、カードと暗証番号(またはワンタイム認証)が抜き取られる。
ここでの「預ける」は一時的でもアウト。
カードや口座の貸与/譲渡は多くの金融機関規約で
禁止されており、犯罪悪用の温床です。
なぜ致命的に危険なのか:5つのリスク
- 資金は下りないのに口座だけ利用される
そもそも融資審査を回していない場合が大半。
あなたの口座が他人の送金受け取り・出金に使われ、
マネーミュール(資金洗浄の運び屋)化します。 - 不正引き出し・勝手な借入・口座凍結
ATMで現金を抜かれる、勝手にカードローン枠を使われる、
振込詐欺関連先として金融機関から口座凍結され生活・事業に直撃します。 - 規約違反・法令違反に問われうる
口座・カードの貸与や譲渡は規約違反。
状況次第で犯罪への加担が疑われ、
被害者ではなく「関与者」扱いになるおそれも。 - 個人情報の流出・二次被害
カード情報、暗証番号、本人確認書類の写しが一度流れると、
サブスク契約・通販・闇金融等へ横流しされ被害が連鎖します。 - 取り返しがつきにくい
第三者の出金・送金は痕跡があっても資金回収が困難。
加えて信用回復(口座の解除・職場説明等)に長い時間と労力を要します。
典型的な被害の流れ(時系列)
- SNSの「審査なし高額融資」広告から連絡。
- 「枠取りに必要」「報酬担保」と称してカード・暗証番号・通帳を要求。
- 「手続中」「審査結果待ち」と時間稼ぎ。
- その間に不正引き出し/他口座への送金が実行。
- 連絡が途絶え、融資も入金されない。
- 後日、口座凍結や身に覚えのない請求・督促が届く。
赤信号サイン:こう言われたら即撤退
- 「ブラックでもOK/信用情報は見ません」
- 「今からカードと暗証番号だけ預けて」
- 「報酬の持ち逃げ防止。一時的に預かるだけ」
- 「手数料(デポジット)を先に入れて」
- 実名・住所・固定電話・特商法表示がない、契約書を拒む
もしカードを渡してしまった/情報を伝えてしまったら
- カード停止・口座凍結の申請
直ちに発行金融機関の緊急連絡先へ。
暗証番号変更・再発行を依頼。 - 不正利用の記録化
入出金明細、やり取りのスクショ、送金先情報を保全。 - 警察・消費生活センターへ相談
事案番号を取得し、後続の交渉・説明に備える。 - クレカ・通販のパスワード総入れ替え
流出の連鎖を遮断。二要素認証を有効化。 - 今後の資金繰り計画を再構築
正規の相談窓口(金融機関・保証協会・公的支援)へ。
正規の選択肢:安全な資金調達・与信回復の道
- 正規の金融機関
銀行・信用金庫・消費者金融(登録業者)を必ず利用。
事前に金利・手数料・返済計画を明文化。 - 公的支援
自治体の制度融資、信用保証協会、日本政策金融公庫など。 - 与信の立て直し
延滞解消・任意整理等の法的整理、
携帯・公共料金の延滞回避で信用情報を改善。 - 収支の是正
固定費削減、売掛回収、短期運転資金のブリッジ管理。
よくある疑問
Q. 一時的に預けるだけなら問題ない?
A. いいえ。一時的でも不可。規約違反にあたり、
トラブル時に「貸与の事実」が重く見られます。
Q. 本当に大きい融資枠が取れることは?
A. 「カード預託」を条件にする時点で疑ってください。
正規の審査は本人の収入・信用情報・返済能力で決まります。
まとめ:カードは命綱。誰にも預けない
「信用情報が汚れていても大丈夫」「大きな枠が取れる」という甘言で、
キャッシュカードの預け入れを迫る案件は、
融資を受けられないのに口座だけ犯罪利用される、
極めて危険な手口です。
カード・暗証番号・通帳・ワンタイム認証はいずれも
絶対に共有しない/預けない。
万一渡してしまった場合は、直ちに停止・通報・被害抑止を行い、
正規のルートで与信回復と資金繰りの再建を進めましょう。