書籍レビュー

投資熱が高まる今こそ読みたい、“投資との距離の取り方”を教えてくれる一冊

SNSやメディアで投資の成功談を目にする機会が増え、「自分もやらないと置いていかれる」と焦りを感じていませんか。
本書『投資依存症――こうしてあなたはババを引く』は、投資にのめり込みやすい心理とリスクの本質を、
やさしい語り口で警鐘を鳴らす一冊です。
「増やす前に減らさない」ための視点を、「投資の現実」とともに教えてくれます。

こんな悩みを持つ人におすすめ

  • 投資関連の情報に触れる時間がどんどん増え、気持ちが落ち着かない
  • 短期の値動きに振り回されて、やるべき仕事や生活が疎かになりがち
  • 「NISAでとりあえず投信」へ進む前に、仕組みとリスクを冷静に整理したい
  • 投資とギャンブルの境界線を自分の中で明確にしたい

本書で得られることを一言で

「投資で心を失わないための“ブレーキ”を身につけ、破綻リスクを遠ざける」

なぜ、投資は“沼”になりやすいのか?

利用者の体験談・SNSのキラキラ投稿・インフルエンサーの成功例…。
情報が多いほど、人は「自分だけ置いていかれる」不安=FOMOに陥ります。
本書はその心理的メカニズムを解きほぐし、熱狂の裏側にあるゼロサム性・手数料・制度の限界など、
見落としがちな論点を投げかけます。

 

書籍の基本情報

タイトル:投資依存症――こうしてあなたはババを引く

著者:森永 卓郎

出版社:三五館シンシャ

発売:2024年9月(紙版は約208ページ/Kindle版は約159ページ)

           ジャンル:教養・ノンフィクション/マネー・投資のリスク論

                                     ※基本情報の出典:紀伊國屋・HMV・Amazon商品ページ等

本の要約(ネタバレしすぎない範囲)

投資ブームの高まりを背景に、著者は「投資依存症」という言葉で、
のめり込みによる判断力の低下・生活破綻のリスクを指摘します。
投資は「誰かの利益は誰かの損の裏返し」という側面を持ち、
コスト・税・心理バイアスを踏まえなければ損失に近づきやすい、と冷静に説きます。
一方で、盲信や過度な期待を手放し、現実的なラインに落とすことで、
人生の主導権を取り戻せると提案します。

章ごとの概要(超要点)

  • 序章:投資熱の正体と「投資依存症」という視点
  • 第1章:投資がギャンブル化しやすい心理(FOMO/確証バイアス等)
  • 第2章:ゼロサム性・手数料・税の現実と「期待値の落とし穴」
  • 第3章:メディア・SNS露出と“成功物語”のバイアス
  • 第4章:生活と心を守る距離の取り方(依存から抜ける行動)
  • 終章:「増やす前に減らさない」ための行動原則

この本を通じて学べる3つのこと

  • 心理の罠を見抜く視点:FOMO/確証バイアス/損失回避など、熱狂から距離を取る言語化
  • 期待値と思い込みの分解:コスト・税・ゼロサム性を含めて「本当の収支」で考える習慣
  • 生活優先の設計:資金配分・自動化・情報の断捨離で、投資と健全に付き合う方法

実際に読んで感じたポイント

良かった点

  • 投資礼賛に偏りがちな今だからこそ、冷静さを取り戻すための“ブレーキ”として機能する
  • 専門用語で煙に巻かず、生活者の言葉で語られていて読みやすい
  • 「投資に人生を乗っ取られない」ための距離の取り方が具体的

気になった点(正直レビュー)

  • 長期分散・市場成長の「プラス期待値」に対する反論はやや少なく、強い警鐘寄りに感じる読者もいそう
  • 実務的な商品名・運用レシピは最小限。具体策よりも「構え方」を学ぶ一冊

この本がおすすめの人

  • 初心者:投資の前に「期待と現実」を整えたい方
  • 副業・本業優先派:投資で心を擦り減らしたくない30〜40代ビジネスパーソン
  • 情報過多に疲れた人:SNSの成功談で焦りや不安を感じがちな方

まとめ

『投資依存症』は、投資を否定するための本ではなく、
「人生の主導権を投資に明け渡さない」ための視点を与える本だと感じました。
情報と熱狂に振り回される前に、一度立ち止まって心の舵を取り戻したい方におすすめです。

※上記は筆者の個人的な感想です。投資判断はご自身の責任でお願いします。