
アイキャッチ:ギフト券の前払いを条件にする勧誘は、手口を変えた「着手金」
「審査が厳しい人でもOK」「今だけ高額枠」「成功率◯%」——
こうした文言とともに、アマゾンギフト券の先買い(コード送付)を
求める資金調達案件が広がっています。
結論から言えば、これは着手金や保証金の名称を変えた前払い要求であり、
資金が下りないままギフト券を奪われるリスクが極めて高い手口です。
本稿では実態・心理トリック・被害パターン・回避策を体系的に解説します。
なぜ「ギフト券の先買い」を使うのか:詐欺側の3つの動機
- 着手金・保証金の代替
金銭の前払いは警戒されやすいため、
ギフト券に置き換えて心理的ハードルを下げます。
「購入=資金の一部を立て替えるだけ」と誤認させる狙い。 - 履歴が追跡しにくい
コードを送るだけで換金でき、
現金振込より足がつきにくい。
換金ルートに流されると追跡は困難です。 - 即時性と不可逆性
コードが相手に渡った瞬間に価値移転が完了。
取り消し難く、被害回収がほぼ不可能になります。
典型的な勧誘の流れと“うまい話”の構図
- SNS・DMで「属性悪くても枠取れます/当日入金可」と勧誘。
- 「審査通過率を上げる担保」「保証金の代わり」
としてアマゾンギフトを◯万円分購入させ、コードを送らせる。 - 「審査中」「上席承認待ち」「保証協会の確認」などと時間稼ぎ。
- 最終的に「審査落ち」「返金は規約対象外」として連絡が途絶える。
この間、ギフト券は即日換金され、あなたの資金は回収不能になります。
赤信号サイン:こう言われたら即撤退
- 「現金はNG、ギフト券なら可(コードでOK)」
- 「着手金ではない、審査強化のための一時立替」
- 「今だけ/今日中/先着◯名」などの焦らせワード
- 契約書・特商法表示・会社所在地が曖昧(画像や私書箱のみ)
- 成功報酬の返金条件が実質ゼロ(『審査不可の場合は対象外』等)
本質は「着手金詐欺」:形を変えても同じからくり
ギフト券であれ電子マネーであれ、
融資実行前の前払い要求という構造は、
古典的な着手金詐欺と同一です。
名目(保証金・手続費・審査強化費・枠確保費)が変わっても、
成果が出ない/連絡が途絶えるという結末は同じ。
さらにギフト券は換金が早く痕跡が薄いぶん、
現金より悪質度が高いのが実情です。
「実績のある人」は属性が良いだけ——誤誘導のからくり
勧誘では「成功者の声」「高い承認率」の数字が強調されますが、
成功しているのは多くの場合、
信用情報が良好で収入・勤続・税履行が整った属性の人です。
つまり、そもそも正規ルートでも通る層を
「案件の実績」に上乗せしているだけ。
属性が厳しい人ほど、ギフト券前払いの
リスクだけ負わされる構図になっています。
想定される被害パターン(時系列)
- ◯万円分のギフト券を購入 → コード送付。
- 「入金は◯時」と案内 → その時間に来ない。
- 追加で「不足分」「上席承認費」を再度要求。
- 最終的に未入金のままブロック/アカウント消滅。
被害額は小口の積み上げになりやすく、
複数回で数十万円規模に膨らむ例も。
被害に遭わないための実践チェックリスト
- 融資前の前払い(現金・ギフト券・暗号資産)は一切しない
- 会社情報(商号・所在地・代表者・連絡先)と特商法表示の有無を確認
- 契約書なし・口頭約束のみ・DM決済は即撤退
- 「保証協会」「公庫」など公的名称の濫用に注意(実在機関の名を借りる)
- スクショ・やり取り・レシートを保存しておく(証拠保全)
もし購入してコードを渡してしまったら
- 即時にプラットフォームへ通報(出品・アカウント、SNS運営等)
- 消費生活センター・警察相談窓口へ相談し、事案番号を取得
- やり取り・送付コード・購入レシート・相手ID等の証拠化
- 同様の誘いを受けた知人・コミュニティにも注意喚起
コード使用後の回収は極めて困難なため、初動の抑止と拡散防止が最重要です。
正規の資金調達・与信回復のために
- 銀行・信用金庫・登録消費者金融など正規業者のみ利用
- 日本政策金融公庫/信用保証協会などの公的制度の活用
- 延滞解消・任意整理等による信用情報の再構築
- 短期的には支出圧縮・在庫回転・売掛回収などキャッシュフロー改善を優先
まとめ:名称が変わっても「前払い=危険」
アマゾンギフトの先買いを条件にする資金調達案件は、
着手金や保証金の看板を掛け替えた前払い要求にすぎません。
履歴が追いにくく換金が速いがゆえに、被害回収はほぼ不可能。
成功例は属性が良い人の自然通過を“実績”として流用しているだけです。
前払いを求められた時点で即撤退し、
正規の金融機関・公的制度での調達へ舵を切りましょう。