Funding Guide for Entrepreneurs

経営者のための資金調達ガイド
借りることは「武器」になる

準備万端のつもりだった。でも起業してみたら、お金の現実は想像以上だった。

起業して最初に感じた「お金のリアル」

会社を設立する前、自分なりにお金の準備はしていたつもりでした。
運転資金、設備費、当面の生活費——計算上は問題ないはず。
ところが、実際に事業を始めてみると、
想像していた以上に出費が多いことに驚かされました。

税理士への顧問料、社会保険料の負担、契約書の作成費用、
名刺やパンフレットの制作費、交通費、交際費……。

一つひとつは大きな金額ではなくても、積み重なると毎月かなりの額になります。
サラリーマン時代には会社が負担してくれていたものが、
すべて自分の財布から出ていく現実。
これは実際に経営者になってみないとわからない感覚でした。

特に危険なのが、「日銭が入る計算で資金繰りを考えてしまうこと」です。
「毎月これくらい売上があるから大丈夫だろう」——
この考え方は落とし穴にはまります。

売上の入金は翌月や翌々月になることもありますし、
予定していた取引が突然キャンセルになることもあります。

入金と出金のタイミングのズレだけで、帳簿上は黒字なのに現金がない、
いわゆる「黒字倒産」の危機に陥ることすらあるのです。
私自身、売掛金の入金が遅れて月末の支払いに
冷や汗をかいた経験は一度や二度ではありません。

「お金の準備は十分だと思っていた。
でも起業後3ヶ月で、その甘さを痛感した。」

「今は必要ない」でも準備だけはしておくべき理由

起業直後、もし事業が順調に立ち上がったとしても
「資金調達はいつでもできるように準備しておくべき」
というのが私の結論です。

なぜなら、事業が好調な時こそ融資の審査は通りやすいからです。
逆に、本当にお金が必要になった時——
つまり資金繰りが苦しくなった時には、銀行の審査は格段に厳しくなります。
「困ってから借りる」のでは遅い。

「余裕があるうちに借りられる状態を作っておく」。
これが経営者の鉄則です。

具体的に言えば、事業が軌道に乗った段階で法人口座の実績を積み、
信用情報をきれいに保ち、日本政策金融公庫や信用金庫との関係を構築しておくこと。
いざという時に「あなたなら貸しますよ」と言ってもらえる信頼関係を、
平時から築いておくことが大切です。

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💡 借りることは「悪」ではない ― 経営者のマインドセット

日本では「借金=悪いこと」という意識が根強いです。
私自身もサラリーマン時代はそう思っていました。
「借金はしない方がいい」「無借金経営こそ正義」——
これは個人の家計においてはある程度正しいかもしれません。

しかし、経営の世界では全く違います
銀行や公庫から融資を受けることは、信頼の証でもあります。
「この会社にはお金を貸しても大丈夫」と金融機関に認められた証拠だからです。

実際、多くの成長企業は借り入れを活用して事業を拡大しています。
新しい設備を導入する、人を雇う、新規事業に投資する——
こうした攻めの経営には、自己資金だけでは限界があります。
適切な借り入れは、会社を成長させるためのエンジンなのです。

借入実績が会社を大きくする理由

信用力が積み上がる
きちんと返済した実績が、次の融資のハードルを下げる。
最初は小さな額でも、実績を積めば大きな融資を引き出せるようになります。

成長のスピードが上がる
自己資金だけで事業を回すと、成長速度に限界がある。
借り入れを活用することで、チャンスを逃さず投資できます。

キャッシュフローに余裕が生まれる
手元資金を温存しつつ、必要な投資ができる。
「現金がない=選択肢がない」という最悪の事態を防げます。

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⚠ 借入で絶対にやってはいけないこと

借り入れは武器になると言いました。
しかし、使い方を間違えれば自分自身を破壊する凶器にもなります。
ここだけは絶対に守ってほしい注意点があります。

◆ 事業資金を私生活に使ってしまう人

これは想像以上に多いパターンです。事業用の借り入れや売上を、
生活費や個人的な買い物に流用してしまう。
最初は「今月だけ」「来月の売上で補填すればいい」と軽い気持ちで始まりますが、
一度やると感覚が麻痺して当たり前になります。
気づいた時には事業資金が枯渇し、本末転倒の状態に陥ります。

事業のお金と個人のお金は完全に分ける。
これは経営の大前提です。
法人口座と個人口座を明確に分離し、
役員報酬以外で個人の支出に使わないルールを徹底してください。

◆ 返済能力を超えた借り入れ

借り入れは大きくすべきだと先ほど述べました。
しかし、これは「返済能力を意識した上で」という大前提があります。
毎月の返済額が売上に対してどの程度の割合になるのか、
最悪のシナリオ(売上が半減した場合)でも返済を続けられるのか。
この計算をせずに「借りられるだけ借りる」のは自殺行為です。

【借入前のセルフチェック】

✔ 事業資金と個人資金の口座は完全に分離しているか
✔ 毎月の返済額は月商の何%以内に収まるか
✔ 売上が半減しても3ヶ月は返済を継続できるか
✔ 借入の目的は明確か(何に使い、どう回収するか)
✔ 返済計画を具体的な数字で作成しているか
全部YESでなければ、借入額を見直してください。

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🏦 経営者が知っておくべき借入先の種類

一口に「借り入れ」と言っても、借入先によって金利、審査基準、融資スピード、
返済条件は大きく異なります。
経営者として知っておくべき主要な借入先を紹介します。

主要な借入先一覧

① 日本政策金融公庫(JFC)
創業融資の王道。金利が低く、担保不要の制度もあり、
起業したばかりの経営者にとって最も頼りになる存在です。
事業計画書の質が審査のカギを握ります。

② 信用金庫・地方銀行
地域密着型の金融機関。公庫の次に検討すべき借入先です。
担当者との関係構築が重要で、定期的な報告や相談を通じて
信頼を積み上げることが融資獲得のポイント。

③ メガバンク
大手銀行からの融資。審査基準は厳しく、設立間もない企業には門戸が狭い。
ある程度の業歴と実績を積んでからチャレンジする段階です。

④ 消費者金融・ビジネスローン
審査がスピーディーで、即日融資も可能。
ただし金利が高いため、緊急時のつなぎ資金として割り切って使うべき。
常用するとコストで首が回らなくなります。

⑤ 補助金・助成金
返済不要の資金。
創業補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金など種類は多い。
ただし申請の手間がかかり、採択率も100%ではないため、
これだけに頼るのは危険です。

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🆘 返済が苦しくなった時の対処法

どんなに計画的に借り入れをしても、事業の状況は常に変化します。
売上が急激に落ちた、大口の取引先が倒産した、想定外のトラブルが発生した——
返済が苦しくなる可能性はゼロではありません。

大切なのは、返済が苦しくなったら「一人で抱え込まない」「早めに動く」ことです。
放置すればするほど状況は悪化します。
以下の選択肢を知っておいてください。

① 金融機関にリスケジュール(返済条件変更)を相談する
返済が厳しい場合、まず借入先に正直に相談すること。
金融機関側も貸し倒れは避けたいので、
返済期間の延長や月額の減額に応じてくれるケースは意外と多いです。
絶対にやってはいけないのが、連絡を無視して延滞を放置すること。

② 他の融資でリファイナンス(借り換え)する
金利の高い借入を、より低金利の融資に借り換える方法。
特に消費者金融やビジネスローンで高金利の借入がある場合、
公庫や信金への借り換えで月々の返済負担を下げられる可能性があります。

③ 専門家に相談する
税理士、中小企業診断士、商工会議所の経営相談窓口など、無料で相談できる場所は多い。
一人で抱え込むと視野が狭くなり、判断を誤りやすくなります。
第三者の目線を入れることで、意外な打開策が見つかることもあります。

④ セーフティネット保証・経営改善計画の策定
国や自治体には、経営危機に陥った中小企業を支援する制度があります。
信用保証協会のセーフティネット保証や、経営改善サポート保証などを活用して、
立て直しの時間を確保しましょう。

返済に困ること自体は恥ずかしいことではありません。
経営をしていれば誰にでも起こり得ること。
大事なのは、困った時にどう動くかです。

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🚨 資金繰りに困った経営者を狙う悪質案件

資金繰りが厳しくなると、冷静な判断力が鈍ります。
そこに付け込んでくるのが、資金調達を餌にした悪質な案件です。
「審査なしで500万円融資」「ブラックでもOK」——
こうした甘い言葉には必ず裏があります。

追い詰められた状態では正常な判断ができなくなるからこそ、
平常時のうちにこうした手口を知っておくことが最大の防御になります。
経営仲間の中にも、資金繰りに窮して怪しい融資案件に手を出し、
結果的にさらに深刻な事態に陥ったケースを見てきました。

最後に ― お金と向き合うことから逃げない

経営者にとって、お金の問題は避けて通れません。
売上を伸ばすことも大事ですが、同じくらい大事なのが
「お金を調達する力」と「お金を管理する力」です。

私自身、起業当初は「お金を借りる」ということに強い抵抗感がありました。
しかし実際に経営をしてみると、借り入れは経営を安定させ、
成長させるための重要なツールだと実感しています。

もし当時の自分に一つだけアドバイスできるなら、
「もっと早く金融機関と関係を作っておけ」と言いたい。
大切なのは、借りること自体ではなく、借りたお金をどう使い、どう返すかです。

このページが、これから起業する方や、資金繰りに悩む経営者の方にとって、
少しでも参考になれば幸いです。お金の問題から逃げずに、正面から向き合い続けること。
それが経営者として生き残るための、最も基本的かつ最も重要な姿勢だと私は思っています。

― 早乙女流夜(さおとめ りゅうや)

📋 今後公開予定の記事一覧

以下の記事は現在執筆中です。公開され次第、リンクを更新していきます。

準備中 日本政策金融公庫で創業融資を受ける完全ガイド
準備中 信用金庫との付き合い方|融資に繋がる関係構築術
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